<ニュースレター「マネーの知恵」 2021年2月発行>
最近は老後資金の確保を目的として、不動産投資に関心を持つ方が増えているようです。
また、不動産収入を得ることで、早期リタイアを目指したいという若い人の声もよく耳にするようになってきました。
とくに比較的信用力が高い大企業の従業員などをターゲットにした営業活動が行われており、不動産ローンを組んでマンション投資を行っている人が増えています。
しかし、そのマンション投資が上手くいっていないケースが大変多くなっていて、相談を受ける機会が増えています。
中には満室だったとしても利回り3%以下という悪条件でマンション投資を始めてしまったようなケースもありましたし、マンション投資開始からマイナスの収益になってしまい、「このままでは年金の足しになるどころか、手出しが発生してしまう」と言って相談に来られた方もいました。
金融緩和の影響で不動産価格が高騰し、建築コストも上昇している一方で、賃料は伸び悩んでいるため、不動産投資で収益を得るのは年々難しくなっているのが現実です。
■銀行の融資姿勢に変化
不動産投資にはいくつかのリスクが存在しますが、賃借人の家賃滞納リスクは保証会社の活用で対応できます。
また、賃貸物件の修繕リスクについては、基本的には信頼のできる管理会社を見つけて、計画的に資金を準備していくしかありません。
業者が相当甘い見積もりを行って不動産投資を促しているケースも多いため、この辺りは専門的なアドバイザーの活用も視野に入れておいたほうがいいでしょう。
次に金利変動リスクですが、不動産ローンは変動金利が多いものの、日本の財政状況や経済環境を考慮すれば、当面は大きく金利が上昇する可能性は少ないと思われます。世界的なカネ余りの環境が続いているため、不動産価格の下落リスクは限定的なものになるのではないでしょうか。
金利のついでに、金融機関の融資スタンスの変化にも触れておきます。
大規模な金融緩和の影響もあって、銀行が積極的に不動産ローンに取り組んでいた時期がありましたが、過熱を警戒した金融当局の指導もあって、現在は慎重な姿勢に変わりつつあります。
■需給の関係でみると暗い将来見通し
そのため大きなリスクとして考えておかなくてはいけないのは空室リスクと家賃下落リスクの2つです。
この2つに関しては、長期的には需給要因が大きく関係してきます。
それは賃貸の需要が供給を上回らないと空室が増え、賃料の下落圧力が高まってくるからです。
賃貸物件の借り手は、現役で働いている世代が中心のため、特に生産年齢人口の推移には注意を払っておいたほうがいいですね。
例えば東京都の場合、生産年齢人口は2020年の904万人から、2025年には913万人に増加する見通しになっています。(データ出所:「2060 年までの東京の人口推計」東京都政策企画局)
その後生産年齢人口は減少に転じるものの、減少ペースは比較的緩やかになる見通しで、また、この間に供給が減っていくと予想されるため、東京に関しては空室リスクと家賃下落リスクはそれほど大きくないと思われます。
単位:万人
※2020年以降は予測 東京都政策企画局「2060 年までの東京の⼈⼝推計」を基に筆者作成
しかし、東京以外の地域については、すでに大半の地域で急激に生産年齢人口が減り始めています。
賃貸需要の減少は避けられず、今後の賃料の上昇は期待できません。
希望する賃料で借り手を見つけることも、年々難しくなっていくことでしょう。
■ついつい「自分は大丈夫」だと考えてしまう人間の心理
このような環境で不動産投資を始めるのは、リスクのわりにリターンが少ないため非効率です。
利便性の良い場所に不動産を保有しているなど条件的に恵まれていたり、相続税対策のような別の目的でもない限り、あえてこのタイミングで不動産投資に踏み込む必要はないと考えています。
人間というのは美味しそうな話を前にすると、それが非効率でリスクがあることを理解していながらも、正常性バイアスが働いて、ついつい「自分は大丈夫」と考えてしまったり、また、自分にとって都合の悪い情報を遮断してしまう傾向があります。
このような心理面を理解した上で、冷静な判断を心掛けてもらいたいものです。
【著者】
久保 逸郎(FPオフィス クライアントサイド代表)
ファイナンシャルプランナー
金融知力インストラクター
日経情報活用アドバイザー(日経メディアプロモーション公認)
<講師プロフィール>
高校を1年で中退。独学で大学入学資格検定を取得して大学進学。
大学卒業後は大手リース会社、外資系生命保険会社を経て、平成15年3月にファイナンシャルプランナー(FP)として独立。
相談業務を中心に実務派ファイナンシャルプランナーとして活動する傍ら、ライフプランや資産運用などのお金のことについて年間100回近いセミナー等の講演活動や、マネー雑誌等への原稿執筆などを行っている。
<主なメディア実績>
読売新聞・朝日新聞・朝日新聞AERA・東洋経済・財界九州・エコノミスト・マネープラス・FPジャーナル・ファイナンシャルアドバイザー・TVQ九州放送「九州けいざいNOW」・FBS福岡放送「めんたいワイド」・九州朝日放送「ニュースぴあ」ほか
2021年1月18日 オンライン勉強会開催
『~プロの視点はココが違う~ 良い投資信託・悪い投資信託の見分け方』
【三枚肉の煮付け】
新型コロナウイルスの影響で沖縄に行くのを控えています。
せめて沖縄料理を食べたいと思ったこともあり、自宅で三枚肉の煮付け作りにチャレンジしてみました。
イメージしたのは沖縄の家庭で味わうような味で、ちゃんと泡盛を使って作りました。
一晩寝かせて翌日食べる予定が、その日のうちに家族に半分は食べられてしまったので、好評だったんじゃないかな。
沖縄の今帰仁村に私の中の三枚肉の煮付けランキング1位のお店があるので、そこの味に近づけるように腕を磨いていきたいです。
<資産運用(投資)のプロとして寄稿>
Financial Adviser
2020年AUTUMN号
特集「withコロナ時代の資産運用アドバイス」にコロナ禍での資産運用方法を寄稿(約10ページ執筆)
FPジャーナル(日本FP協会)
2017年12月号
『活躍する先輩FPに聞く 起業・集客・経営のノウハウ』特集/資産運用アドバイスを求めて、九州一円から相談者が集まるFPとして紹介されました。
Financial Adviser
2019年SUMMER号
不安にさせない運用アドバイス特集
(10ページ執筆)
運用アドバイスに長けた3人のエキスパートとして紹介されました。