米国の景気後退確率が急上昇

<ニュースレター「マネーの知恵」 2019年7月発行>

IMF(国際通貨基金)723日に最新の経済成長見通し(WEO)を発表しました。

それによると今年(2019)の世界経済全体の成長率は3.2%で、来年(2020)3.5%になっており、成長率が上がることが見込まれています。

今後の傾向として示されているポイントは、新興国が先進国を大きく上回る成長が見込まれていることで、今後は先進国と新興国の成長率の差が拡大していくことになりそうです。

 IMF世界経済成長見通し(2019.7発表)>

IMF世界経済成長見通し(20197月)を使って筆者作成

米国景気後退確率指数が30%を突破
今回の発表の中でとくに注目する点は、世界経済に大きな影響を与える米国の経済成長率が下がってきていることです。

米国は近年の段階的な政策金利の引き上げが終了して、これから利下げの方向に進んでいく可能性が高まってきていますが、実体経済が徐々に悪化してきている部分が一部にみられるから利下げにシフトするのであって、今後についてはけっして楽観視できる状況ではありません。

また、過去に起きた事実として、利下げが始まってからしばらくしてからITバブルの崩壊やリーマン・ショックが起きていることをわすれてはいけません。
ニューヨーク連銀が算出する12ヵ月後の米国景気後退確率指数が急上昇しており、直近では33%にまで達しています。

33%という数字を見れば確率自体は低く見えますが、この確率が過去30%を超えた時点から12ヵ月後に景気後退入りしているケースが多く、米国経済の先行きについては警戒しておく必要があるでしょう。

金融緩和の効果が薄れてきている日本
それでは日本はどうかというと、消費増税の影響などもあって、来年の経済成長見通しは今年(2019)0.9%から、0.4%にまで落ち込む見通しになっています。

金融機関の担当者がよく「五輪までは大丈夫」という言葉を使って金融商品の営業を行っているいるようですが、とても「大丈夫」と言える数字ではありませんし、私達の想像以上に世界の日本に対する見方は厳しいものです。

0.4%の成長見通しは日本の潜在的成長率程度と言ってしまえばそれまでですが、政府と日本銀行が一体となって推し進めてきた金融緩和の効果が薄れてきており、今後は企業決算発表のニュースなどにおいて、「減益」や「下方修正」といった言葉が目に付くようになると思います。
日本国内には資産運用ポートフォリオの中心が日本株になってしまっている投資家が多いので、そのような人は注意をしたほうがよさそうですね。

厳しいマーケット環境がしばらく続くのでは
このように厳しくなりつつ投資環境の中で、これから私達はどのように投資を行っていけばいいのでしょうか?

積立などで長期の資産形成(10年以上を想定)を行っている人の場合は、そのまま長期分散投資を継続するスタンスで構わないと思いますが、日本株のウエイトを下げて、成長力のある新興国株式のウエイトを上げるなど、ポートフォリオの調整を行ったほうがいいかもしれません。
少なくとも
金利収入が望めない上に、デュレーションリスクがある国内債券については、ポートフォリオに入れる必要はないと考えています。

すでに手元にあるまとまった資金の運用を行っている人の場合は、足元のマーケット環境が「株ダメ」「債券はお話しにならない」といった状況なので、当面(5年程度)は厳しい状況が続きそうです。
リーマン・ショック以降の世界的な金融緩和の反動もあって、大きな下落調整が入る場面もありそうです。

株式投資であればディフェンシブセクターを中心に、配当利回りが高い株式を狙う。
成長株や中小型株よりも割安株・大型株を選好するなど、保守的な戦略で投資を行ったほうがよいでしょう。

最近は「老後資金2000万円不足」がニュースやワイドショーなどで取り上げられたこともあって、株式投資セミナーなどが賑わってきています。
しかし、足元の投資環境はけっして良いとはいえません。
せっかく株式投資に関心が集まっていることを個人的には嬉しく感じていますが、投資を始めたのはいいけどいきなり値下がりしてしまい、それに耐えきれず止めてしまうような方が増えると、投資に悪いイメージを持ってしまう人が増えてしまうのではないかと懸念しています。

【著者】
久保 逸郎(FPオフィス クライアントサイド代表)

ファイナンシャルプランナー
金融知力インストラクター
日経情報活用アドバイザー(日経メディアプロモーション公認)

<講師プロフィール>
高校を1年で中退。独学で大学入学資格検定を取得して大学進学。
大学卒業後は大手リース会社、外資系生命保険会社を経て、平成15年3月にファイナンシャルプランナー(FP)として独立。
相談業務を中心に実務派ファイナンシャルプランナーとして活動する傍ら、ライフプランや資産運用などのお金のことについて年間100回近いセミナー等の講演活動や、マネー雑誌等への原稿執筆などを行っている。


<主なメディア実績>
読売新聞・朝日新聞・朝日新聞AERA・東洋経済・財界九州・エコノミスト・マネープラス・FPジャーナル・ファイナンシャルアドバイザー・TVQ九州放送「九州けいざいNOW」・FBS福岡放送「めんたいワイド」・九州朝日放送「ニュースぴあ」ほか

近況報告

アメリカンフットボール
中京大・西南学院大と合同練習の様子

201968日 山口県内の金融機関の資産運用セミナーで講演
最近のマーケットの状況や、今後の見通しについて説明を行いました。

2019615日 長崎県内の銀行の資産運用セミナーで講演
最近のマーケットの状況や、今後の見通しについて説明を行いました。

2019617日 自主開催勉強会開催
『はじめての投資信託』【投資初心者向け】

2019626日 福岡県内の銀行の資産運用セミナーで講演
最近のマーケットの状況や、今後の見通しについて説明を行いました。

プライベート

【初めて野球部の息子の応援に】
622日から中学3年生の息子の野球部最後の大会(中体連)が始まりました。

その前週に練習試合の会場(豊前市)まで、急に息子をクルマで送らなくてはいけなくなったため、そのまま会場に残って試合を見たのが実は中学初観戦でした。
そして中体連の初戦も見に行きました。

これまで仕事とアメリカンフットボールを優先してきたため、子供の部活は全く見ることはありませんでしたが、仲間達と楽しそうにしている様子を見ることができて良かったと思います。

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