<ニュースレター「マネーの知恵」 2019年5月発行>
最近マンション購入に関する相談を受ける機会が増えてきています。
昨年あたりからマンション販売が伸び悩んでることもあって、とくに販売業者側が煽っている影響もあるのでしょうね。「消費税が上がる前に」「マイナス金利の間に」といったセールスを受けたという声をよく聞きます。
たしかに消費税が増税されてしまうと2%負担が増えるわけですから、増税前に手に入れようという考えは理解できます。
しかし、過去の経験では、増税のショックを和らげるために、さまざまな政策が行われるものです。今回の10月の消費税率引き上げに際しても、住宅ローン減税が3年延長(2020年12月末まで)されることや、「すまい給付金」の拡充(2021年12月末まで)、「次世代住宅ポイント制度」の導入が決まっています。
また、マイナス金利については銀行の経営体力を奪ってしまう副作用が強い政策でもあり、いつまでも続けることはできません。いわば時限付の政策であると思います。そのためマイナス金利は続けても3年~4年程度が限度と見ていましたが、世界的に景気が悪化し始めている現状では、たとえマイナス金利が解除されたとしても、それほど金利が上がることはないように思われます。
■マンション価格は短期的には需給関係よりも、金融政策の影響が大きい
リーマン・ショック以降、日本はずっと金融緩和を続けてきています。
しかも2013年4月からは日本銀行が「異次元緩和」と呼ばれる大規模な金融緩和を実施していて、毎年約80兆円もの大量の資金を市場に送り込んでいます。
貸出先に困った銀行が不動産向け融資を拡大させたこともあって、不動産向け融資額はかつてのバブル期を超える水準にまで達しています。
このような金融緩和の影響は首都圏だけではなく、福岡市のような地方中枢都市にも出ています。
実際に地方中枢都市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)の住宅地の価格は2013年を底にして、翌年2014年から急激に上昇しました。そのため不動産価格ととしては相当な高値圏にあると考えておいていいでしょう。
最近は「地方銀行発の不動産バブル」といったような記事も見られるようになってきています。本来なら不動産価格は需給関係によって決まるものですが、人口減少で需要が減りつつある中で不動産価格が上昇しているのは、このように金融政策の影響が大きく出てしまっているのです。
■買い時は銀行が不動産向け融資を減らしているタイミング
それではいつがマンションの買い時なのでしょうか?
その答えを一言で表すなら、銀行が不動産融資を減らしているタイミングです。
ちょっと過去に戻って考えてみたいと思います。2008年9月に起きたリーマン・ショックは前年のサブプライムローン問題に端を発したものでした。このサブプライムローンとは米国の信用力が劣る方向けの住宅ローンで、その分金利が高く設定されていることが特徴でした。
しかし、返済が困難になる方が増え、さらに住宅価格が低迷した影響で「住宅ローンを払えなくなっても売却すれば大丈夫」という見込みが外れ、売却をしてもローンが残ってしまう形となってしまい、それが米国住宅金融公社のファニーメイとフレディマックの破綻につながり、リーマン・ショックに繋がったのです。
このサブプライム問題の影響は日本にも及び、銀行は不動産向け融資を急激に減らしました。とくにリーマン・ショックに発展して以降は、信用不安の連鎖が起きたことから、その減らし方は異常とも言えるもので、それまで業績が良かったマンション開発業者が次々と破綻することになりました。
私自身が特に驚いたのは、メガバンクがメインとなって支援を行い、成長を続けていたマンション開発業者を、簡単に見捨ててしまったことです。その結果、新築在庫が溢れ、マンション価格は急落することになりました。
そのためこの約10年でいえば、リーマン・ショックの影響を受けた2009年~2010年あたりがマンションの買い時だったといえます。
■かぼちゃの馬車事件以降、銀行の不動産向け融資は減少傾向
このようなリーマン・ショックの経験でわかるように、マンション価格は銀行の融資姿勢の影響を大きく受けます。
それでは足元の状況はどうかというと、皆さんもニュース等でご覧になられたと思いますが、女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」事件が起きて以降、金融庁は銀行の不動産向け融資を厳しく監視するようになっています。
そのため銀行の不動産向け融資は少しずつ減り始めています。
景気の部分でも日本はピークを迎えていると思われます。国際通貨基金(IMF)の世界経済成長見通しなどの見ても、日本に対しては厳しい見方が多くなっていることから、これから少しずつ景気が悪化してくると考えておいたほうがいいでしょう。「東京五輪まで景気は大丈夫」と言う人も多いですが、私は東京五輪の前に景気は悪化すると考えています。
そのためマンションの買い時は案外早くやってくると思っています。福岡市内の好立地のマンションでもすでに価格は下がってきていますし、来年(2020年)あたりは狙い目になるかもしれませんね。
【著者】
久保 逸郎(FPオフィス クライアントサイド代表)
ファイナンシャルプランナー
金融知力インストラクター
日経情報活用アドバイザー(日経メディアプロモーション公認)
<講師プロフィール>
高校を1年で中退。独学で大学入学資格検定を取得して大学進学。
大学卒業後は大手リース会社、外資系生命保険会社を経て、平成15年3月にファイナンシャルプランナー(FP)として独立。
相談業務を中心に実務派ファイナンシャルプランナーとして活動する傍ら、ライフプランや資産運用などのお金のことについて年間100回近いセミナー等の講演活動や、マネー雑誌等への原稿執筆などを行っている。
<主なメディア実績>
読売新聞・朝日新聞・朝日新聞AERA・東洋経済・財界九州・エコノミスト・マネープラス・FPジャーナル・ファイナンシャルアドバイザー・TVQ九州放送「九州けいざいNOW」・FBS福岡放送「めんたいワイド」・九州朝日放送「ニュースぴあ」ほか
2019年4月20日 鹿児島県内の銀行の資産運用セミナーで講演
最近のマーケットの状況や、今後の見通しについて説明を行いました。
【英会話】
アメリカンフットボールのみらいふ福岡SUNSですが、春シーズンを前に、毎週末練習を頑張っています。
この春は新外国人選手としてBrandon Berry(バッファロー大出身、LB)が加わり、外国人選手2名体制になりました。
練習中も英語が飛び交う環境になったので、コーチの私ももっと英語でコミュニケーションを取れるようにならないといけないと思って、息子と一緒に英語を勉強し始めたところですが、英語の文章を読んだり、ヒアリングで理解はある程度出来ても、会話の機会が少ないので言葉が出てきません。
英会話でも習いに行こうかと真剣に考えているところです。