<ニュースレター「マネーの知恵」 2024年11月発行>
前回の『政府債務・財政の問題は世界経済の大きなリスク要因、分散先として財政の健全性が高い国に注目』(2024年10月発行)で、政府債務・財政の問題は当面の世界経済の大きなリスクの一つであり、資産保全のためにも比較的財政が健全な国に注目をしておく必要があることお伝えしました。
そこで今回は財政が健全で、資源国という強みがあるオーストラリアについて解説します。
■鉱物資源等に恵まれているオーストラリア
オーストラリアは太平洋の南にある島国で、その面積は7,741,000 km²。これは世界で6番目の広さであり、日本に比べて約20倍の面積です。
広大な国土に豊富な鉱物等の資源が眠っており、主な輸出品目は鉄鉱石(29.8%) 、石炭(12.2%) 、天然ガス(9.6%)となっています。(データ出所:2021年、財・サービス 出典:外務貿易省統計)
「オージービーフ」の影響の影響で、私達日本人はオーストラリアというと食糧資源が豊富というイメージを持っているかもしれませんが、食料品の輸出はそれほど多くありません。
データ出所:世界経済のネタ帳
また、オーストラリアの特徴としては先進国であり、ただ鉱物を掘削して輸出するだけの国とは経済状況が異なります。
歴史的に英米の影響が強く、金融システムなどは日本よりも進んでいる部分がありますし、新興国と違って政治的にも安定しています。
地理的に東南アジアに近いことから、中国などのアジア圏の景気動向に左右されやすい傾向はありますが、ロシアのウクライナ侵攻以降、世界はかつてのような東西分断の方向に少しずつ動き始めています。
そのためオーストラリアは西側にある貴重な資源国として、これから存在感を強めていくのではないでしょうか?
■オーストラリアの労働生産性は世界で12番目
インフラ・教育・労働市場・金融サービス・ビジネスの洗練度などの項目で調査される国際競争力において、オーストラリアは世界141ヶ国中で第16位(2019年時点)。
労働生産性の指標である一人当たりの名目GDP(USドル)は世界191ヶ国の中で12番目。
日本と比較してみれば、BRICSが台頭を始めた2000年辺りからの成長が著しいことがわかりますね。
データ出所:世界経済のネタ帳
■豊富な資源を持つ強みを背景に、経済は安定成長が続く
当然ながら日本と比べて経済成長率は高く、また、リーマン・ショックが起きた2008年は世界各国がマイナス成長に陥った中でも、オーストラリアはプラス成長(2.58%)を維持したように経済は安定しています。
コロナ禍の2020年はマイナス成長(-2.1%)になってしまいましたが、世界各国に比べてマイナス幅は小さいほうであり、やはり資源を持つ強みが発揮されたと思います。
データ出所:世界経済のネタ帳
■オーストラリアの大きな魅力は財政が健全であること
このように先進国でありながら安定成長を続けているオーストラリアですが、大きな魅力の一つは財政が健全であることではないでしょうか?
前回の『政府債務・財政の問題は世界経済の大きなリスク要因、分散先として財政の健全性が高い国に注目』の中でもお伝えしましたが、オーストラリアの国債は格付け大手3社から最上位の評価(AaaまたはAAA)を得ています。
また、政府債務総残高のGDPに対する比率は49.01%(世界188ヶ国中110位)で、日本の249.67%(同世界2位)、米国の118.73%(世界12位)と比べれば、いかに国の借金が少ないかがわかると思います。
※数字はいずれも2023年時点
2024/25年度の予算案には所得税減税に加えて、再生可能エネルギーへの投資、また、電気料金補助の拡大・延長等が盛り込まれるなどインフレ対応の予算が組み込まれているため、当面は財政赤字となる可能性が高くなっています。
しかし、もともと財政に余裕がある状況ですし、赤字幅の見通しもそれほど大きなものではありません。
データ出所:第一生命経済研究所 オーストラリア:2024/25年度予算
このようにオーストラリアは先進国でありながら成長性が高く、財政の健全性が高いという魅力があります。
また、先進国ということで政治や金融システムも安定しており、株式や債券だけでなく、REITを含めたオルタナティブ資産への投資も比較的行いやすくなっています。
但し、オーストラリアへの投資は注意点もあります。
それは米ドルやユーロ、円に比べると取引量が少ないため、経済指標や政策金利の影響を受けて、為替レートの変動幅がどうしても大きくなってしまうこと。
2025年以降、円高・米ドル安の進行を予想する見方が根強い状況において、豪ドルは対円でも安定的な推移をすることが見込まれていますが、為替レートの変動の大きさを理解して、一喜一憂しない落ち着いたスタンスで投資を行う必要があります。
【著者】
久保 逸郎(FPオフィス クライアントサイド代表)
ファイナンシャルプランナー
金融商品フェアアドバイザー(上級)
日経情報活用アドバイザー(日経メディアプロモーション公認)
<プロフィール>
高校を1年で中退。独学で大学入学資格検定を取得して大学進学。
大学卒業後は大手リース会社、外資系生命保険会社を経て、平成15年3月にファイナンシャルプランナー(FP)として独立。
相談業務を中心に実務派ファイナンシャルプランナーとして活動する傍ら、ライフプランや資産運用などのお金のことについて年間100回近いセミナー等の講演活動や、マネー雑誌等への原稿執筆などを行う。
大和投信、三菱UFJ投信などの大手運用会社のアドバイザー(講師)を10年以上経験しており、マーケット環境や投資信託の活用方法についてのアドバイスを得意としている。
<主なメディア実績>
読売新聞・朝日新聞・朝日新聞AERA・東洋経済・財界九州・エコノミスト・マネープラス・FPジャーナル・ファイナンシャルアドバイザー・TVQ九州放送「九州けいざいNOW」・FBS福岡放送「めんたいワイド」・九州朝日放送「ニュースぴあ」ほか
2024年10月23日 金融機関の資産運用セミナー(オンライン開催)で講演
NISAの現状に加えて、最近のマーケットの状況や今後の見通しについて説明を行いました。
今月も週1回程度のペースで西南学院大学アメリカンフットボール部の練習に参加して、若者達と汗を流してきました。
とくに夏休み期間の厳しい練習を乗り越えて以降、学生達の成長は目覚ましいものがあります。
練習では激しくぶつかり合うためストレス発散になりますし、若者達と触れ合うことで良い刺激をもらっています。
若い人達の考え方を知り、接し方を学ぶことは仕事でも役立つため、スポーツに限らず、このような機会を持ち続けていこうと思っています。