<ニュースレター「マネーの知恵」 2024年12月発行>
2024年も残りわずかとなりました。そこで少し早いですが、2024年のモデルポートフォリオの運用状況を振り返りたいと思います。
ちなみにモデルポートフォリオというのは、今後の世界経済の状況を見据えて、また、10年程度の長期視点で、成長性(攻め)と確実性(守り)の両方のバランスを考えながら毎年更新している戦略的資産配分のことをいいます。
日頃から「基本的な資産運用の考え方」資料でお伝えしているように、投資を行ってお金を殖やしていくためには複利の力を活用することが重要。その複利の力を最大限に活用するためにも、ブレの少ない運用、とくにマーケットが悪化した時でも大きく負けないことが大切であり、しっかりと守りながらも着実にお金を殖やしていくという、いわゆる「守り勝つ運用」のための戦略的な資産配分です。
ポートフォリオの詳細な資産配分については相談にきていただいた方、またはオンラインで相談を行う方にお伝えをしているため、ここには書きませんが、2024年は安定運用部分、積極的運用部分ともに大変順調に推移した一年だったと思います。
とくに積極運用部分については夏頃にマーケットがあれだけ大きく乱高下したにもかかわらず、年率標準偏差は6.44%という先進国国債並みのブレ幅(リスク)に抑えつつ、年率リターン13.97%という好結果になりました。(2024年1月~11月)
しっかりとリスク・コントロールをしながら、効率的にリターンを出せた一年だったといえるでしょう。とくに以前より公益セクター株式と新興国高配当株式の割安感を伝えており、積立投資にあまり固執しないで、一括投資に取り組んでいただいた方々の中には、積極運用部分で20%以上のリターンを得られた方もいると思います。
■安定運用部分はTAAの戦略的な配分変更がしっかりと機能
安定運用部分は通常はインフレ率程度のリターンを期待して、年率1~2%程度のリターンを狙う部分ですが、近年は景気変動や市場の変化に応じて、資産配分比率を機動的に変更するタクティカル・アセット・アロケーション・ファンド(TAA)を中心にお勧めする機会が多くなっています。
その中でも3本のファンドから選んでいただくことが多くなっていますが、3本のファンドのいずれも目論見通りの安定したパフォーマンス(2024年1月~11月)になりました。
作成:FPオフィス クライアントサイド
とくに株価が乱高下して株価が下がった7~9月期(当該期間のTOPIXは-4.9%、先進国は-5.39%)において、最も大きく下がったファンド(青色)が-2.27%の日々の値動き程度の下落で済んだのは、TAAの戦略的な配分変更がしっかりと機能していることの表れでしょう。
■マーケットの調整局面に強いという公益セクター株式の特徴が発揮された
ポートフォリオの積極運用部分については、近年ウエイトを引き上げてきた公益株セクター株式が人気の情報技術セクターの半分程度のリスク(公益セクター11.91%、情報技術セクター20.09%)だったにもかかわらず、情報技術セクターとほぼ同じくらいの高いリターン(公益セクター47.53%、情報技術セクター48.7%)となっています。
<S&P500業種別パフォーマンス> 2024年1月~11月
作成:FPオフィス クライアントサイド
とくに注目をするべきはマーケットが調整した7~9月期のパフォーマンスで、この期間に情報技術セクターが-33.35%の大幅下落をしたのに対して、公益セクターは26.93%の大幅なプラスでした。マーケットの調整局面に強いという公益セクターの特徴が出たと思いますし、ポートフォリオの安定のために大きく貢献をしてくれたと思います。
■中央銀行による外貨準備の関係で、金の需要は安定
また、近年はずっと好調な金(GOLD)ですが、今年も良好なパフォーマンスになっています。下記はポートフォリオに組み入れることが多いゴールド・ファンド(為替ヘッジあり、なしの2本)ですが、先進国株と変わらないパフォーマンスで推移しています。
作成:FPオフィス クライアントサイド
「有事の金」と言われるようにリスクオフ局面で強みを発揮する金ですが、近年は各国の中央銀行が外貨準備の一環として金を持つ傾向が顕著になっており、分断の時代に戻りつつある昨今、金の需要は安定しています。
■割安感が強い新興国株式は今後も期待出来るアセットクラス
足元では米国株、その中でも情報技術セクターなどの成長株にバリュエーション(投資価値評価)面での割高感が目立っていることと、長期目線で考えた場合は成長性が高い資産に投資を行ったほうが良いこと等から、ポートフォリオの攻めの部分には新興国株式ファンドを積極的に組み入れていますが、近年推奨している新興国株式ファンドの今年1月から11月までの収益は最も低いファンドで11.3%のプラス、最も投資してもらう機会が多かったファンドは16.47%で、期待以上の成果を出してくれています。
作成:FPオフィス クライアントサイド
新興国株の今後に関しては銘柄選択の重要性がより一層増してくると考えていますが、割高感が強いインド株を除けば、全体的に割安感が強いため今後も期待出来るのではないでしょうか?
■リスク・コントロール型の運用のほうが長期的には成果が出やすい
個人投資家の場合はどうしてもリターンの部分に目が向かってしまうものですが、プロの投資の世界ではリターンよりもリスクをコントロールすることのほうが重要であると考えられています。その理由ですが、リターンはその時々で上下に大きく振れるものですが(=増えることもあれば、減ることもある)、リスクについては資産配分によってある程度コントロール出来るため。また、リスク・コントロール型の運用のほうが長期的には成果に繋がりやすいためです。
その点でモデルポートフォリオの2024年の運用は大変良好だったといえます。また、もともと米国の景気悪化を見越してポートフォリオを作っているため、基本的には2025年以降も資産配分を大幅に見直す必要はないと考えています。
しかしながら、トランプ2.0でマーケットの今後については不透明感が強くなりつつあります。4年の任期で、再任は無いということを踏まえると、大統領就任直後に矢継ぎ早に政策を実行に移すことが予想されるため、2月~3月頃には今後の方向性が見えてくるのではないでしょうか?その頃には2025年版のモデルポートフォリオを作るつもりでいます。
【著者】
久保 逸郎(FPオフィス クライアントサイド代表)
ファイナンシャルプランナー
金融商品フェアアドバイザー(上級)
日経情報活用アドバイザー(日経メディアプロモーション公認)
<プロフィール>
高校を1年で中退。独学で大学入学資格検定を取得して大学進学。
大学卒業後は大手リース会社、外資系生命保険会社を経て、平成15年3月にファイナンシャルプランナー(FP)として独立。
相談業務を中心に実務派ファイナンシャルプランナーとして活動する傍ら、ライフプランや資産運用などのお金のことについて年間100回近いセミナー等の講演活動や、マネー雑誌等への原稿執筆などを行う。
大和投信、三菱UFJ投信などの大手運用会社のアドバイザー(講師)を10年以上経験しており、マーケット環境や投資信託の活用方法についてのアドバイスを得意としている。
<主なメディア実績>
読売新聞・朝日新聞・朝日新聞AERA・東洋経済・財界九州・エコノミスト・マネープラス・FPジャーナル・ファイナンシャルアドバイザー・TVQ九州放送「九州けいざいNOW」・FBS福岡放送「めんたいワイド」・九州朝日放送「ニュースぴあ」ほか
2024年11月12日 オンライン勉強会開催
『マーケットの長期展望とアセット・アロケーションの考え方 ~最新の投資環境(2024年11月)~』
11月10日(日)に平和台陸上競技場で、コーチングスタッフとして登録しているPLEIADES福岡SUNSの試合が行われました。
東京ガスクリエイターズと対戦して17-37の大差で敗れてしまいましたが、雨の中にもかかわらず、多くの方々が観戦に来てくださって、少しずつ福岡にアメリカンフットボールの文化が広がってきていることを嬉しく思いました。(私は右端のほうで真っ赤なノースリブシャツを着て写っています。)