国際的信用力低下が懸念される日本の財政

<ニュースレター「マネーの知恵」 2021年12月発行>

2021年も終わりが近づいてきましたね。
前年と同様に新型コロナウイルスに左右される一年となりましたが、それでも日本は他国に比べれば、今のところ新型コロナウイルスの感染状況は落ち着いて
おり、明るい兆しが見えている状況にあると思います。


この新型コロナウイルスによる経済的ダメージを抑えるために、政府は積極的な財政出動を行いました。
そのことによって日本の財政状況が急激に悪化しており、秋に行われた衆議院選挙でもバラマキ問題が大きくクローズアップされました。
財務省の矢野康司事務次官が文藝春秋に「財務次官、モノ申す『このままでは国家財政は破綻する』」という論文を発表したことも大きな話題になりましたね。

そこで今回は現在の日本の財政状況と、国際的にどのように思われているのかということについて書きたいと思います。

日本のバランスシート
こちらは20203月末時点の日本の貸借貸借表(バランスシート)です。
データ出所:財務省

資産と負債の差額が592兆円ということで、GDP以上の規模になっているのは驚きです。
国債の消化を日本国内で行えているため、今のところ高い信用力(【信用格付】ムーディーズ:A1SPA+)は維持出来ているものの、お隣の韓国よりも下、中国と同等の信用格付評価になっており、もはや先進国とは言えないような状況になっています。


極めて高い日本GDPに対する債務割合
バランスシートの次に確認をしておきたいのが、国の経済規模(GDP)に対する借金(債務残高)の割合です。国の債務の大きさを見る時に、国際的にはこの指標がよく使われます。

あえて説明を加える必要も無いくらい、日本のGDPに対する債務割合が高いことがわかります。256%という数字は以前破綻したギリシャをも大幅に上回る水準です。
米国はよく債務の上限問題が話題になりますが、国債の発
行限度を増やすには議会の承認を受けなくてはいけないため、一定の歯止めがあるといえます。
このような歯止めがあるのはイギリスも同じです。
また、カナダは足元新型コロナウイルス対応を優先して債務割合が高まっていますが、今年4月に財務大臣が単年度収支と債務残高が2025年度までに対GDP比でそれぞれ1.1%と49.2%にまで低下する見込みを示しており、持続可能な水準であるとの説明が行われました。
ドイツ・フランス・イタリアはEUの枠組みの中にあるため、厳しい財政規律の中で運営されています。

このように他国は一定の規律を守りながら財政運営を行っているのに対して、日本はとくに規律があるわけではありません。
それに加えて、その時々の政権が目先の選挙を何よりも優先されてきたことで財政規律が緩み、このような極めて高い債務水準になってしまったのでしょう。

通貨の信頼性を守ることが重要
近年は与党にもMMTModern Monetary Theory)という考え方を唱える方が増えています。これは「独自通貨を発行できる国は、債務返済のための通貨発行に制約がないため、いくら借金をしても財政破綻は起きない」という理論です。
この考え方は一理ある部分もあるのですが、日本は鎖国をして自国内だけで経済を運営しているわけではありません。
各国が一定の財政規律を守っている中、日本だけが財政規律を無視した政策を続けることが許されるわけはないでしょう。
とくに輸入依存度が高い日本においては、国際的に通貨の信頼性を守ることは大変重要なことだと思います。

海外から向けられる厳しい目
それで日本の財政状況を海外の人達がどのように見ているかということですが、政府が2025年までにプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化を国際公約だと認めているように、やはり日本も財政を健全化させることを求められています。
ギリシャの債務問題が浮上した時、厳しい財政規律の中で耐えてきたドイツ国民はギリシャ支援(救済)に反対する声が強かったように、やはり国際的には放漫財政を続けてきた日本に対しても厳しい目線が向けられているのです。

そして日本は膨大な国の債務がある一方で、個人金融資産も米国に続いて、世界第2位の約2000兆円の規模になっています。
この事実を海外の人達が見て、「これまで散々国民に甘い汁を吸わせてきて、それで国の借金が膨大になったのだから、さっさと増税して国民から返してもらいなさい」と考えるのは当然のことではないでしょうか?

今後海外から日本に対して財政を健全化させるよう求める声が強まってくることが予想されるため、増税や公的年金の支給開始年齢が引き上げられることは覚悟しておいたほうがよさそうです。

【著者】
久保 逸郎(FPオフィス クライアントサイド代表)

ファイナンシャルプランナー
金融知力インストラクター
日経情報活用アドバイザー(日経メディアプロモーション公認)

<講師プロフィール>
高校を1年で中退。独学で大学入学資格検定を取得して大学進学。
大学卒業後は大手リース会社、外資系生命保険会社を経て、平成15年3月にファイナンシャルプランナー(FP)として独立。
相談業務を中心に実務派ファイナンシャルプランナーとして活動する傍ら、ライフプランや資産運用などのお金のことについて年間100回近いセミナー等の講演活動や、マネー雑誌等への原稿執筆などを行っている。


<主なメディア実績>
読売新聞・朝日新聞・朝日新聞AERA・東洋経済・財界九州・エコノミスト・マネープラス・FPジャーナル・ファイナンシャルアドバイザー・TVQ九州放送「九州けいざいNOW」・FBS福岡放送「めんたいワイド」・九州朝日放送「ニュースぴあ」ほか

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