<ニュースレター「マネーの知恵」 2024年6月発行>
2012年末に第2次安倍内閣が誕生して、「アベノミクス」と呼ばれる経済・財政政策が始まりました。アベノミクスの柱となる政策は長期政権の中で徐々に変化していきましたが、当初に掲げた「3本の矢」とされた政策は、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の3つでした。
■異次元緩和で大量のマネーを市場に供給
アベノミクスの第1の矢である大胆な金融政策については、2013年に日本銀行総裁に就任した黒田東彦氏が「異次元緩和」と評したように、過去に例が無いほどの規模で進められました。つまり政府と日本銀行が一体となって金融緩和を行ったわけです。
データ出所:内閣府
上記のグラフを見れば、2013年以降に異例のペースで日本銀行が資産規模を拡大したのかがわかりますね。まさに異次元レベルでの金融緩和が行われたわけですが、それだけ多くのマネーが市場に供給されたため、不動産価格(主に都心部のマンションや土地価格)の高騰や、日本国債の格下げ(Aa3→A-、S&P)などの副作用が起きました。
しかし、資金調達を行う企業にとっては「天国」とも言える状態で、それが長く続き過ぎた結果として企業の新陳代謝が進まず、そのことが経済の低成長が続く原因になってしまっているという批判があります。昨年(2023年)に日本銀行総裁が植田和男氏に代わり、今年(2024年)に入って日本銀行が金融引き締めの方向に転換をし始めていますが、明らかに他国に比べて遅れており、足元の円安の大きな要因になってしまっていることは間違いありません。
■アベノミクス以降は財政規律を失った状態が続く
第2次安倍政権が誕生した頃は東日本大震災の影響が大きく残っており、復興のために巨額の費用としていました。そのため第2の矢の機動的な財政政策は必要だったと思いますが、徐々に財政規律を失い、自民党一強の状態が続いたこともあって、財政支出の拡大に歯止めが効かなくなってしまったような気がします。
1999年から2012年あたりまでは一般政府(国・地方自治体・社会保障基金)による年間支出は概ね190兆円前後で推移しており、「ある程度の財政規律が守られていた」と言えますが、2013年以降は拡大を続けています。
データ出所:世界経済のネタ帳
また、国民の高齢化が進み、今後も社会保障費の増加が見込まれるため、歳出については今後も増加が避けられない見通しです。
データ出所:世界経済のネタ帳
結果的に日本の政府総債務残高(対GDP比)は252.36%(2023年)で、スーダンに続いて世界で2番目の高い水準になっています。膨らんだ政府債務を実質的に減らす手段としては①財政規律を守って財政黒字にしていくか、②デフォルト(破綻)③ヘアカット(債務の一部免除)、④低金利とインフレで実質的に借金を減らしていく方法しかありませんが、②と③については先進国で経済大国である日本が行えるはずがありません。増税をしても①で解決をすることは難しいため、事実上④の方法しかなく、今後はインフレ率>金利という国民にとっては大変厳しい状況が続いていくことになるでしょう。
■アベノミクスの成長戦略はほとんど成果無し
アベノミクスの第3の矢である民間投資を喚起する成長戦略については、経済成長が低水準でとどまっていることからわかるように、全くと言っていいほど成果は上がりませんでした。あえて小さな成果を挙げるとすれば、企業が資金調達を行いやすい状態が続いたことで、倒産が少なく、失業率が低く推移したことでしょうか?
データ出所:独立行政法人労働政策研究・研修機構
但し、日本の雇用統計には問題があって、パートやアルバイトなどを行って働いていると失業者としてカウントされません。(これが海外と比べて日本の失業率が低く見えるトリックです。)近年は非正規等の立場で働いている人が増えており、その中でも30代後半から50代前半のいわゆる就職氷河期世代を中心に、足元の円安・物価高で家計が厳しくなっていることに加えて、大企業で行われているような賞与増の恩恵を受けられていない傾向が見られます。
経済の好循環、高めの経済成長が実現しなかったことで、「アベノミクスは失敗に終わった」といえるでしょう。上記で確認していただいたように失敗のツケは大変大きく、これから私達はそのツケで苦しむことになるでしょう。
【著者】
久保 逸郎(FPオフィス クライアントサイド代表)
ファイナンシャルプランナー
金融知力インストラクター
日経情報活用アドバイザー(日経メディアプロモーション公認)
<プロフィール>
高校を1年で中退。独学で大学入学資格検定を取得して大学進学。
大学卒業後は大手リース会社、外資系生命保険会社を経て、平成15年3月にファイナンシャルプランナー(FP)として独立。
相談業務を中心に実務派ファイナンシャルプランナーとして活動する傍ら、ライフプランや資産運用などのお金のことについて年間100回近いセミナー等の講演活動や、マネー雑誌等への原稿執筆などを行う。
大和投信、三菱UFJ投信などの大手運用会社のアドバイザー(講師)を10年以上経験しており、マーケット環境や投資信託の活用方法についてのアドバイスを得意としている。
<主なメディア実績>
読売新聞・朝日新聞・朝日新聞AERA・東洋経済・財界九州・エコノミスト・マネープラス・FPジャーナル・ファイナンシャルアドバイザー・TVQ九州放送「九州けいざいNOW」・FBS福岡放送「めんたいワイド」・九州朝日放送「ニュースぴあ」ほか
2024年5月28日 ザ・プリンスパークタワー東京
『AI時代のこれからと経済・経営に及ぼす影響』柳川範之氏(東京大学大学院経済学研究科教授)の講演を受講AIとファイナンスについて学んできました。
5月26日に1年振りにテニスの大会に出場しました。
インターハイ出場経験有り、強豪大学テニス部出身の23歳女子と組んでミックスダブルスに参戦したのですが、サーブとボレーはこのレベルでも通用したけど、まだまだ課題が多いことがわかりました。
実戦でわかった自身の課題を、今後の練習で克服しようと思いました。
やはり試合に出ることは大事ですね。
ミックスダブルスは夫婦ペアや親子ペアなど、様々な人達が出てくるので面白い。試合の合間に出場者の小さい子供と遊んだりして、ほのぼのとした雰囲気でした。
久しぶりにテニスの大会(4試合)を楽しんで、帰りに福津で海を観ながらロコモコを食べて、充実した日曜日でした。