投資信託はリターンやコストだけに注目しないで、運用スタイルの違いにも目を向けて選ぼう

<ニュースレター「マネーの知恵」 2021年11月発行>

投資信託にはTOPIX(東証株価指数)や日経平均株価などの指数に連動するインデックスファンドと、それを上回るパフォーマンスを目指すアクティブファンドの2種類があります。

インデックスファンドは運用会社のファンドマネージャーが指数になるべく近くなるように運用を行なっています。
その一方で、アクティブファンドはファンドの運用方針がそれぞれ違うので、運用スタイルもファンドごとに全く違っています。

それぞれの違いを見るために、国内株式に投資を行うアクティブファンドで、設定開始から10年以上が経過しているものを、純資産残高が多いものから10銘柄とTOPIXを並べてみました。(202111月現在、分類基準はモーニングスターによる。期間は201111月~202110月)

<年率リターン順位> ※年率標準偏差=リスク

1スパークス・新・国際優良日本株ファンド
年率リターン20.16%(年率標準偏差15.46%)

2ひふみ投信
年率リターン17.71%(年率標準偏差15.29%)

3年金積立Jグロース
年率リターン16.15%(年率標準偏差16.85%)

4トヨタグループ株式ファンド
年率リターン14.31%(年率標準偏差22.21%)

5JPMザ・ジャパン
年率リターン14.24%(年率標準偏差22.47%)

6フィデリティ・ジャパン・オープン
年率リターン13.87%(年率標準偏差16.97%)

7フィデリティ・日本成長株・ファンド
年率リターン13.69%(年率標準偏差17.03%)

8TOPIX
年率リターン12.52%(年率標準偏差16.40%)

9ノムラ日本戦略株ファンド
年率リターン12.09%(年率標準偏差16.90%)

10さわかみファンド
年率リターン11.41%(年率標準偏差16.58%)

11ニッセイ日本株ファンド
年率リターン10.67%(年率標準偏差16.59%)


ファンド毎に異なる運用スタイル
最も好成績を残したのがスパークス・新・国際優良日本株ファンドです。
このファンドは高い技術力やブランド力があり、今後グローバルでの活躍が期待出来る日本企業を中心に20銘柄程度に絞って投資を行う点が特徴で、愛称の「厳選投資」そのままに、投資先を選び抜いたことが高いパフォーマンスを生み出しています。
TOPIXよりも低いリスク(年率標準偏差15.46%)に抑えられている点も評価に値すると思います。

2番目はひふみ投信
このファンドの特徴は比較的リスクが高いとされている中小型株を積極的に組み入れているにもかかわらず、株価が大幅に下がることが予想される局面においては、現金比率を高める(最大50%の範囲内)ことによってリスクを抑えるようにしている点です。
今回比較した10ファンドの中では最も低いリスクになっていて、成長に加えて「危機管理が上手なファンド」ということが言えますね。

3番目の年金積立Jグロースは成長性が高く、株主への利益還元が期待できる株式に投資するファンドです。
ボトムアップ・アプローチを徹底することで、高いパフォーマンスを実現しています。

4番目のトヨタグループファンドは、文字通りトヨタ自動車株式会社およびそのグループ会社の株式に投資する特化型のファンドです。
このような特化型のファンドは投資先の業績が好調な時はいいのですが、分散投資の効果が発揮されないため、リスクが高くなるという特徴があります。
それが高いリスク(年率標準偏差22.21%)になっている理由です。

5番目はJPMザ・ジャパンです。
2012年から2013年にかけて急上昇してブームを巻き起こしたファンドですが、その後は伸び悩んでいます。
短期間で急上昇をするファンドというのは、投資対象に偏りがあることが多く、うまくはまった時期は好成績になるものの、そうでない場合はこのように全体の投資環境が良くても伸びないことがあります。
また、JPMザ・ジャパンは下記のスタイルインデックスでわかるように、ダイナミックに投資対象を変えていることも特徴の一つです。

6番目以下ではフィデリティの2ファンドは、フィデリティの運用哲学である徹底したボトムアップ・アプローチに基づいて、成長株(グロース)で比較的規模が大きめの企業に投資をしているという特徴があります。
長期投資に向いているファンドだと言えるでしょう。


このように投資信託(アクティブファンド)はその投資対象や運用スタイルによって、リターンやリスクが全く異なったものになります。
どうしてもリターンのほうに目が向いてしまいがちですが、投資のリターンは市況によって大きく上下するものです。
そのためリターンよりも、それぞれのファンドの特徴のや、投資成果に与える影響が大きいリスク(年率標準偏差)のほうに注意をしてもらいたいと思います。

安定運用を目指すファンドもある
また、国内株式に投資を行うファンドの中にも、安定運用を目指して、それを実現しているファンドもあります。
鎌倉投信の「結い2101」は11番目で、今回の基準では惜しくも上位10銘柄には入りませんでしたが、「投資先企業の業績の伸びに見合った収益率を目標に、価格変動を抑えゆっくりと安定した運用成果を目指しています」という運用方針の通り、安定的なパフォーマンスを実現しています。

<上記と同じ期間のパフォーマンス>
結い2101(鎌倉投信)
年率リターン7.9%(年率標準偏差9.24%)

あまりドキドキしたくない方にとっては、このような安定的な運用をしてくれるファンドの存在は有難いことでしょう。
ファンドの運用スタイルの違いを押さえるのは、個人投資家にとっては少々ハードルが高いことですが、しっかりと押さえてから投資を行ったほうがいいですよ。

【著者】
久保 逸郎(FPオフィス クライアントサイド代表)

ファイナンシャルプランナー
金融知力インストラクター
日経情報活用アドバイザー(日経メディアプロモーション公認)

<講師プロフィール>
高校を1年で中退。独学で大学入学資格検定を取得して大学進学。
大学卒業後は大手リース会社、外資系生命保険会社を経て、平成15年3月にファイナンシャルプランナー(FP)として独立。
相談業務を中心に実務派ファイナンシャルプランナーとして活動する傍ら、ライフプランや資産運用などのお金のことについて年間100回近いセミナー等の講演活動や、マネー雑誌等への原稿執筆などを行っている。


<主なメディア実績>
読売新聞・朝日新聞・朝日新聞AERA・東洋経済・財界九州・エコノミスト・マネープラス・FPジャーナル・ファイナンシャルアドバイザー・TVQ九州放送「九州けいざいNOW」・FBS福岡放送「めんたいワイド」・九州朝日放送「ニュースぴあ」ほか

近況報告

20211019日 オンライン勉強会開催
『~スタグフレーションの懸念~最新の投資環境(202110月)

プライベート

【オリックスバファローズ25年振り優勝】
1027日にオリックスバファローズの25年振りパ・リーグ制覇が決まりました。
昭和50年代初め、幼少の頃に阪急ファンになってから、球団経営がオリックスに変わってもずっと応援してきました。
久しぶりの優勝は嬉しいですね。

そんな私よりも、ずっと熱いオリックスファンになっているのが息子です。
彼にとってはファンになってから初めての優勝。
しかも前年最下位からの優勝。

宅配ピザを頼んで、しっかりとお祝いをしました。

<資産運用(投資)のプロとして寄稿>

Financial Adviser
2020年AUTUMN号

特集「withコロナ時代の資産運用アドバイス」にコロナ禍での資産運用方法を寄稿(約10ページ執筆)

FPジャーナル(日本FP協会)
2017年12月号

『活躍する先輩FPに聞く 起業・集客・経営のノウハウ』特集/資産運用アドバイスを求めて、九州一円から相談者が集まるFPとして紹介されました。

Financial Adviser
2019年SUMMER号

不安にさせない運用アドバイス特集
(10ページ執筆)
運用アドバイスに長けた3人のエキスパートとして紹介されました。

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