リスクマネジメントの基本が出来ていない現状

元旦に石川県能登地方でマグニチュード7.6、最大深度7の地震が起きました。
今もまだ多くの行方不明者がいる状況で、また、多くの方々が非難生活を余儀なくされていることに心が痛みます。

愛知県で生まれ育った私にとっては、北陸地方は毎年のように海水浴に行っていた比較的身近な場所。
中学時代の同級生3人と羽咋まで行って、海の近くの民宿に泊まったことを覚えています。
また、大学時代の彼女が金沢出身だったこともあって、金沢市内にも行きましたし、能登方面にドライブに行ったこともあります。
今は福岡に住んでいますが、けっして知らない場所ではないため、心よりお見舞いを申し上げるとともに、一刻も早い復旧を願っております。

ファイナンシャルプランナー(FP)という職業柄というか、職業病なのかもしれませんが、今回の震災の後に北陸地方の地震保険の加入状況について調べてみました。
近年比較的大きな地震が続いていた石川県の地震保険世帯加入率は29.4%で、震源の能登半島に近く、大きな被害が出た富山県は26.3%。
ともに全国平均の34.6%を大きく下回っている状況に大変驚きました。
地震保険の世帯加入率は、耐震性に優れているマンションが多い東京都や、大きな地震が起きていない沖縄県・佐賀県・長崎県のような場所では低くなる傾向がありますが、石川県の場合は能登地方を震源とする地震が近年多く発生しており、戸建て住宅が多い地域ですから、正直なところ加入率はもっと高いものだと思っていました。

ちなみに現在私が住んでいる福岡県は近年それほど大きな地震は発生していませんが、それでも地震保険の世帯加入率は38.7%です。

調べていてパッと思いついたのは、アメリカの心理学者、行動経済学者で、2002年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンの『我々のリスク認知は、比較的小さなリスクを過大評価し、大きなリスクを過小評価する傾向がある。』という言葉。
行動経済学で有名なプロスペクト理論を提唱したことで知られている同氏ですが、著書『ファスト&スロー』で人の意思決定の大半は、直感に委ねられているとも述べています。

近年大きな地震が続いてきたにもかかわらず、地震保険には加入していない。
これこそまさにリスクを過小評価していたことの表れではないでしょうか?
これはけっして他人事ではありません。
地震で住む家を失うという大きなリスクには備えないで、その一方で、経済的損失の規模が小さい病気などへの備えを優先して、医療保険等に加入している人が多いのが、残念ながら日本人の現実です。
発生頻度は少なくとも、大きなリスクのほうから保険を掛けて、万一に備えるというリスクマネジメントの基本が徹底されていないんですよね。

生命保険会社の立場が強い日本では、損害保険よりも生命保険のほうが優先されてきた歴史があります。
また、国民の金融リテラシーが乏しく、万一の大きなリスクよりも、目先の小さなリスク対策を優先してきたことが背景になっているでしょう。
自治体が積極的に地震保険の加入を促してこなかったことも理由になっているのかもしれません。
今回の震災のニュースを見ながら、改めて正しいリスクマネジメントの考え方について考えてもらいたいと思いました。

 

 

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